COLUMN
MARKET OVERVIEW
インターネットの利用状況
日本での動画配信について現状実態をご紹介します。その為にまず、動画配信のベースとなるインターネットの現状についてお話します。消費者庁が実施した「令和2年度消費者意識基本調査」のインターネット利用有無(図1)によると、73%が「普段、利用している」と答えました。 10代から40代を通しては95%を超える利用率を示しています。日本にインターネットが初めて導入されたのが1984年です。その後利用は着実に拡大し、現在では日用品化が進んでいると言えます。さて、インターネット利用の内訳を見ると、「動画閲覧」(78%)は「情報収集」(90%)に次いで2位。インターネット利用としては主流中の主流に見えます。
※出典:「令和2年度消費者意識基本調査」
(図1)
(図2)
動画閲覧の前年比較
インターネット利用の主流(図3)、「情報収集」と「動画閲覧」は、一年前と比べて利用が減った人は極めて少数です。収集利用では増えた人(48.3%)と変わらない(50.0%)は拮抗していますが、動画閲覧では増えた人が56.2%と多数派を形成しています。現在では、インターネットで動画閲覧することはインターネットの利用と同じく、消費者のごく日常的な行動となっていると推察されます。ACORN Japanでは、動画配信サービスの浸透状況をさらに知るために、動画配信サブスクリプションについて、2022年3月にインターネットアンケートを実施しました。
※出典:「令和2年度消費者意識基本調査」
(図3)
サブスクリプションの契約状況
アンケート調査結果(図4)から、日本では、4割強の人が有料動画配信サービスを利用していました。各サービスのシェアを見ると、Amazonが1位(28.8%)、Netflixが2位(11.1%)、続いてhuluが3位(6.5%)となっています。残念ながらトップ3に日本のローカル事業者は入りませんでした。Amazonは2位と比べても2.6倍の利用率になりますので、現時点では断トツ1位と言っても差し支えないでしょう。尚、各社はDAZNを除き、一般のTVドラマや映画を主に配信しています。
※出典:動画配信サービスに関する調査(2022年3月 1000サンプル回収 実施機関:ACORN Japan)
契約していない
56.2
サブスクリプション契約数
N=1,000
契約している
43.8
31.9
コンテンツ別の契約数
12.3
5.2
5.1
4.4
3.9
2.8
2.7
2.3
%
N
319
123
52
51
44
39
28
27
23
(図4)
使用頻度 / コンテンツ別
サブスクリプションの契約マトリックス
サブスクリプションの契約数別(図5)で、で見ると4割弱のユーザーが2つ以上の動画配信サービスを契約しており、その内7割程度のユーザーはAmazon、Netflix、hulu、Disney+の中で二つ以上の組み合わせとなっています。2社以上契約している人の約9割はAmazonと契約しています。最多組合せは、アマゾン×Netflix(42.2%)です。このパターンだけが突出して多くなっています。有料動画配信サービスにおいては、Amazonは基軸的な存在ではないでしょうか。
(図5)
(図6)
サブスクリプションの利用頻度
一方、単体での利用頻度(図7)を見ると、トップ2ボックス(週2回以上視聴する人)の割合はNetflixが60.2%と他社を上回っています。ほぼ毎日視聴する人もNetflixは22%と最も多く、契約や利用からは見えなかった利用者の視聴熱量が窺えます。
サブスクリプションの重視点
(図7)
主要4サービスでは重要視しているものは共通していました(図8)。1位が費用、2位がコンテンツの量です。動画配信サービスのユーザーにとっては「費用」、「コンテンツの量」は既に大前提または必要条件となっていて、新規ユーザー獲得のために、ここで優位性を得ることは難しいでしょう。一方、3位にはそれぞれの動画配信サービスの特徴がれているように見えます。しかし、1位、2位と比べるとまだ割合が低いです。今後、契約者数を伸ばすレバレッジとして活用できる可能性はあると思います。
(図8)
月額料金
コンテンツ
の多さ
2
1
3
海外ドラマ
の多さ
57.0
79.4
33.1
月額料金
コンテンツ
の多さ
2
1
3
動画の画質
58.7
70.4
35.3
月額料金
コンテンツ
の多さ
2
1
3
検索し易さ
52.0
77.6
34.0
月額料金
コンテンツ
の多さ
2
1
3
新作が
配信される
52.9
64.3
33.7
(%)