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上海

COLUMN

中国マーケティングの考察

2/2

Dec. 2022

 

「WAHAHA チャネル

中国の改革開放で、卸売業の民営化が進む初期(1980年代)には個人事業主のような小規模卸業者が多く存在しました。小規模の業者が多かった結果、メーカーは人気商品を持っていても売掛金の回収が出来ない事態がよくあることでした。そのような状況を改善する為に、当時人気商品を輩出していたWAHAHAは図1のような独自チャネルを構築することにしました。

 

WAHAHAは自社選定した特約1級卸売業者としか契約を結ばないので、チャネルの管理を簡略化出来ます。簡略化の効果として、営業人員を削減でき、卸売業者と二人三脚で発展に取り組むことができ、結果として、中国国内に自社製品を広く浸透させることができることになります。また、WAHAHAと特約1級卸売業者との契約では、特約業者は前金で10%の保証金を預けることになっています。この独自の制度により、WAHAHAのキャッシュフローが楽になることは間違いありません。

図1

画像7.png

WAHAHAのチャネル

 

「コカ・コーラのチャネル」

一方、コカ・コーラは直販、卸売、ボトラーの3つからなる流通ネットワークを構築しました。直販チャネルは都市部マーケットを中心にメーカー直轄で展開、ボトラーは日本でも耳にしたことがあると思いますが、各地にある既存の事業者による販売展開です。

2001年に設立された101販売網は地方都市、特に镇、日本で言うところの町以下にあたる小さな地域での販売を強化するための組織で、卸売商と契約して末端の小売店に対して冷蔵庫や展示棚などのハード設備や商品知識などのソフト・サービスを提供します。101販売網は物流と売掛金の回収を行いますが、小売先の開拓や販売活動には携わりません。コカ・コーラのチャネルの特徴としては、階層型のWAHAHAと比べると流通構造が短く、メーカーが小売のコントロールをしやすい構造になっていると言えます。

図2

画像6.png

 

「WAHAHAとコカ・コーラの違い」

消費者までのルートはコカ・コーラの方が短いので、小売のコントロールがしやすくなっていることがまず言えると思います。WAHAHAの場合は小売に届くまでの流通機構が何段階もの階層になっているので、コントロールが分散されてしまいます。例えば、新商品販売において、コカ・コーラは新商品が人気がでるまで小売店の棚に置き続けてもらえますが、WAHAHAはチャネル構造上、卸売業者の収益性に左右されます。新商品を待つよりも現在の人気商品を売り続ける方が良いと卸売業者が判断すれば、新商品は流通されにくくなります。現実にはその結果として、WAHAHAはメーカーとして新商品を軌道に乗せることが難しく、新商品開発力が脆弱になり、新しい主力商品が生まれなくなってしまいました。

今回は、WAHAHAとコカ・コーラの流通チャネルについて説明しました。コカ・コーラの流通チャネルはグローバル展開している企業として、日本での展開と同じ部分が多いと思いますが、中国国内で独自に構築した101販売網があることがわかりました。また、国内企業WAHAHAは多層的な販売構造であること、特約卸売業者との契約には保証金等の独特な内容が含まれていることがわかりました。

担当編集:崔 学龍

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