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肥満化が進む中国
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COLUMN

 肥満化が進む中国

2020年12月23日、中国国務院が「国民栄養及び慢性病に関する報告」を発表しました。この報告は現在の中国国民の健康と栄養状態を示しています。     04/2021

 

「地域差の原因」

2020年上海交通大学附属病院の研究チームが” Journal of Diabetes”に中国のネットの検索エンジン及びデリバリーサービスのデータから飲食習慣と生活習慣病の関係を示す論文を発表しました。この研究は2016年の検索エンジンとデリバリーサービスデータから2億1千3百万人を超えるサンプルをもとに計算したもので、多くは45歳以下の成人ですが、65歳以上も45万人は含まれていました。これらの情報をもとに、地域別の料理をカテゴリー分けして数値化しました。

「揚げ物好き、肉好き地域」

図1は揚げパン、唐揚げなど揚げ料理を好む地域です。北方地域で好まれていることがわかります。中でも北京市、天津市、河北省は中国国内で最も高い水準にあります。図2は焼き調理についてですが、中国では焼き料理は焼き肉や串焼き等、肉中心ですので、肉料理を好む地域と捉えて良いと思います。焼き料理(肉料理)も揚げ料理同様に、北京市、天津市、河北省で高い水準を示しています。これらの地域は肥満率、メタボ率が高い地域でもあります。揚げ物好き、肉好きの食生活と肥満、メタボの相関性が窺えます。

図1.png

図2 焼き調理の地域差

図1 揚げ調理の地域差

「甘味を好む地域」

糖質は生活習慣病で最も注意すべき成分と考えられています。糖質の過剰摂取から発生する糖尿病はサイレントキラーと呼ばれ、重篤な合併症を引き起こすと言われています。図3はスイーツなどの甘味を好む地域の分布です。南方の上海市等沿岸部の省市で高い水準にあることがわかります。甘味(=糖質)も肥満の原因と言われていますが、これらの省市の肥満率、メタボ率は低く抑えられています(第2回目のメルマガ参照) 。

表1は肥満率と生活習慣病の発症率を日中で比較したものです。これを見ると中国では、他の疾病に比べて糖尿病だけが低く、肥満率と傾向が一致しないように見えます。日本では、肥満、メタボを語る際に真っ先に取りざたされる糖尿病ですが、中国では高血圧や高脂血症の方が深刻な数字です。

図3 甘味を好む地域差

図2.png

表1

表1.png

「すべてが特別な北京市」

肥満率の高い省市のうち、北京市だけは甘食も高い水準になっていました。中国では元々、メンツを示すために、来客に対して多めの食事を提供する文化があります。2020年8月に習近平国家主席から発令された「光盤行動」(皿の上の食べ物をきれいに食べ尽くす)からも見てとれるかと思います。北京市は中華人民共和国の首都であり、中国人が誰もが住める都市ではありません。首都北京では、さらにメンツは高く、住民が特別に豊かであることを示すために、贅を尽くす傾向がありました。そのため、すべての生活習慣病に対して最大のリスクを孕む都市になってしまったと推論しています。

「結論」

肥満の上昇による社会保障支出の増加は国家としても解決したいことです。中国軍は肥満問題解決のために2015年に「デブは昇進ダメ」規定を作りました。しかし、元々食べることが好きな中国人のこと、食生活に制約をつけることは長続きしそうにありません。食べることを減らす、止めるよりも、入れ替えたり、加えたりする方がしっくりきます。食事の中で特に脂質、肉類の摂取が問題ですから、摂ってしまった栄養素を解消する何かを加える、健康食品、サプリメント、運動等が適していると思います。そこには日本にある様々な製品、サービスのビジネス機会があると言えます。私の中国でのリサーチの経験では、北京の人は商品の付加価値を重視する、上海の人は付加価値のコスパを重視する、広州の人は商品に付加価値ではなく、機能性とコストを最低限にすることを重要視する印象があります。同じ商品を市場導入する際にも、都市間の差に着眼したマーケティングコミュニケーションが必要になると感じています。

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